潜入ルポ アマゾン・ドット・コムの光と影―躍進するIT企業・階層化する労働現場
![]() | 潜入ルポ アマゾン・ドット・コムの光と影―躍進するIT企業・階層化する労働現場 (2005/04) 横田 増生 商品詳細を見る |
推奨度;中立
なぜ読もうと思ったのか:アマゾン安さの秘密、その背景について知るため
この本の割安性:マーケットプレイスで買う分には良い。150−300円台を推移している。
入手手段;図書館で発見、無料で読めた
出版社へ一言:中古価格を見るに、文庫化の時が来ているだろう。加筆を加えて最新の動向を盛り込めば再び店頭でもネットでも売れる本になるだろう。
考えさせられる事が多かった本。
格差についても、経営の効率についてタイトルのとおり、光と影がある。
だがそれはどのような活動や組織に置いても同じだ。
アマゾンの倉庫で働くのは30代から40代の人が多く、彼らは好き好んでやるのではなく生活をつなぐためにやっているだけで仕事への愛着はない。
1分間に3冊以上の本を棚から取って運ぶノルマがあり、アルバイトは安い賃金で限界までこき使われる。
投資銀行について企業研究をしていたときに、階層というものがあることを知ったのだが、アマゾンでもそれに近いものがあるそう。
すなわち、倉庫においてはアマゾンの社員を頂点に、その下に日通の社員、アルバイトのリーダー、そして下っ端のアルバイトという3つか4つの階級があるという。
顧客志向の背景にはこういった裏舞台があるのですね。
ただ、顧客である僕たちは確実にその恩恵を受けて、もはやアマゾンなしの生活は考えられない。
30代、40代の人たちがそこで働くのは他に雇ってくれる場所がないからとこの本では書かれているが、そうであるならばアマゾンは彼らに仕事を提供した救済者であるとも言えよう。
確かに単純労働をキャリアとして積んだ人には価値を見いだしにくい。
ましてや新卒と違って頭の柔らかさ、柔軟性があるわけでもない。
そんな人たちを正社員で雇おうものならそれなりの額を出さなければならず、なおさら雇う理由を見いだせない。
派遣社員やフリーターでいることのリスクがこの辺りにあるんだと思います。
ただそんな人たちの中にも、翻訳の仕事で成功をするためにあえて派遣を選んだ人や、作家や音楽家としての成功を夢見て、それらの活動の合間にフリーターとして働いている人もいる。
単純に”まともな職に就けなかったのだから仕方がない”と判断することはできない。
僕がアマゾンで注文をするたびに、千葉県にあるセンターではアルバイトの人たちが注文の品を探して、梱包して発送をするという作業をしている。
僕はマウスでクリックをしているだけで、そこに人の気配はないけれど、確実に裏では人が動いている。
不思議な感覚だ。
そんなアルバイトの人たちは、他では雇ってもらえない足下を見られて、ノルマを達成できなければ、契約期間がすぎる頃にクビにされると言う。
結果、アルバイト、社員を含めた定着率は極めて低く、アマゾンが続いているのは人的資本の差別化ではなくてシステムによる差別化があるから。
まるでそれは機械が人間を逆に使う立場になったかのよう。
ここを辞めても他に行く所がない。
時給850−900でも条件が良い。
そういった現状に甘んじてしまっているアルバイト。
それにつけ込むアングロサクソン流の経営。
果たして日本型の曖昧さを持つ経営と彼らの経営はどちらが良かったのか?という問題提起をこの本はまたしている。
読み終えて思うのはそれでもアマゾンは僕には必要だし、これからも使うだろうということ。
仮にその後ろに犠牲があってもそれは自己責任なわけで、今の僕にはそれを正す必要性を感じない。
いつだって今の自分がいるのは過去のdecision makeの延長だからだ。
変える事のできる何か、でもなにもしない自分。
それもまた選択なのである。
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